前回のブログの続きです。
漫画家さん、イラストレーターさんとのつながりがツイッターによってでき、まず、和菓子が題材の漫画「わさんぼん」を連載中の佐藤両々さんがライターのむむ先生こと杉村啓さんと取材に来て下さいました。
ちょうどお餅つきをしているところだったので、作業工程を見て頂いたんですが、短時間の割にたくさんのサインをお願いしてしまいました(笑)
ちょうどその頃からキャラキャラマキアート洋一郎さん(以後よーさん)がたびたびお店に遊びにきて下さるようになり、ファンの方たちとのつながりが急に増えだしたのもこの頃…
そしてツイッターで発信を続けているうちにフォロワーの方々との関係性も深まっていき、和菓子作り体験をすることになったツイートがこれ。このとき、灯さかすさんのイラストを引用させて頂いたんです。
正直、うちのような普通の町の和菓子屋にこれほどの著名な作家さんが集まるなんて、今だに理解できずにいますが、思いもしなかった和菓子作り体験という価値をつけて多忙な作家さん達のスケジュールを合わせてくれたよーさん無しには実現しませんでした。
その後、作家さんとのご縁を最初に導いて下さった浅野りんさんが突然お店にいらっしゃるというサプライズもありましたが、7月末に浅野りんさん、佐藤両々さん、灯さかすさん、キャラキャラマキアートさんの4組が和菓子作り体験に来てくださるという計画が現実味を帯びてきました。
近隣の小・中学校から和菓子作り体験を頼まれることはありますが、今回のような長時間(半日の予定)、しかも和菓子を題材にした作品を描かれているので、そこらの業界人よりよっぽど詳しい方ばかりをお迎えする、そんな経験初めてに決まっています。
灯さかすさんにおいては関東の方なので、わざわざこのために京都に滞在していただいたなんて…、よくある練り切りで上生菓子を作る程度の体験だけでは済まされない気持ちになりました。
ましてやそれぞれ沢山のファンをお持ちの作家さんを4名もうちで過ごして頂く、ちょっとやそっとではファンの方にも申し訳ない、納得して頂くためには思いっきり楽しんでもらおう、と内容に頭を悩ます日々が始まりました。
もう、毎日献立に頭を悩ます主婦の気持ちがわかるってもんです。
時期的に毎日というほど香魚(あゆ)を焼いていますので、かなり難易度は高いですが、よーさんも一個は難しいものを入れといたほうが…と言っていたので、一つは香魚に決まり。
他には、せっかくクリエイターの皆さんが集まるので、自分のアイデアを発揮できるようなものを…と思い、錦玉羊かんの透明の部分に飾り付けをしてもらうことにしました。
もう一つ、お子さんも参加予定でしたので好きな果物を選んでもらってフルーツ大福を作ってもらうのもいいかも…
と3つのアイデアを温めながら、お盆向けの商品作りと並行して準備をすすめておりました。
その間、佐藤両々さんに「わさんぼん」連載中のまんがタイムオリジナルの表紙カットに葛もちアイスを描いて頂いたり、漫画家 野広実由さんとご来店下さって、野広先生連載中の「オトメ巫女さんと妖精神主」の作中に当店を登場させて頂くことになったりと、普通ではない出来事が次々起こってたんですが、あっという間に体験当日に。
この様子は灯さかすさんが、可愛くレポートを描いてくださったのでご覧ください。
お昼過ぎに集まって頂いて、身支度のため和室にお通ししたんですが、名刺交換などをしている間に自然発生的に始まったサイン会。
イメージでは私が皆さんにサインをお願いして回ろうと思ってたのですが、作家さん同士でもサインをすることがあるんですね。でも、4人がそれぞれ描いていると結構時間が…。和菓子作りの時間も心配でしたが、自分の為のサインを描いてもらう時間があるのか…ヒヤヒヤ見守っていましたが、無事いただくことができました。
この時点で自分的にはもう満足してしまい、この後の和菓子作りほんとにいる?って感じだったんですけどね。
さて、すっかり温まりきった銅板にいよいよ香魚の生地を流す体験です。トップバッターは浅野りんさん。さすがに初体験では生地をすくう(サジ切りという)だけでも難しく、皆さん苦戦しておられました。残念ですが、ここで次の体験準備に移ったので他の人のをあまり見てないんですが、最もうまかったのは佐藤両々さんの二人のお嬢さんだったらしいですよ。
次に取り掛かったのが棹ものの羊羹なんですが、上部が透明の錦玉になっていて、そこに自由に飾りつけをして頂きました。
7人いたのですが、それぞれ個性のあるいい作品になりました。日頃作っている側から見ても思いもよらなかった手法があったり、感心させられました。
抜き型も事前に少しだけ手作りしたのですが、もっといろいろな種類があると作品の自由度が広がる反面、難しいですが最初から練り切りだけで飾りを作ってもらっても幅が広がったかなと思います。
次は、いろいろなフルーツを餡と求肥で包むフルーツ大福。当初参加予定だった小学生のお子さん向けだったんですけど、大人にも十分楽しんでもらえたよう。
今回参加された方は一様にして上手だったと思います。和菓子作りの経験がある方もいたと思いますが、あまり手取り足取り教える必要がなかったです。香魚に関しては教えてもなかなかできるものではないですが…
和菓子作りのあと、なんと梅田で食事会の予定が…。時間までに終わらせる必要があったのですが、なんとか許容範囲内で収まりました。その後のお茶の時間が長引いたので、結局予約には遅れましたが(笑)
終わってしまえばあっという間でしたが、初めてのことで準備も行き届いてなかったのに、皆さん寛容に楽しんでくださってとても有難かったです。
ましてや、それぞれ多忙な作家さんが4組もスケジュールを合わせて、うちのようなところに来て頂けた事に感謝しかありません。
楽しい時間であったのは当たり前。
そもそもこの4名の作家さんの作品って、基本、人を笑わせようとしてますので、描いている人も面白いに決まっているんです(?) 同じものを見ていても、これはどう映っているのかな?とか、どんなツッコミ浮かんでるのかな?みないなことを思いながら横顔を眺めてしまいました(笑)
お店を通じていろんな方とお会いしますが、人に対して興味を持つことの大切さを思うことがよくあります。
ある程度の関係性を維持しないと見えない魅力が誰しもあるからです。今回なかなかお会いできないような人達でしたが、きっとお会いする度にいろんな一面が見られる気がする、そんな風に思わせる魅力的な方々でした。